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積分法の公式

置換積分法

具体例

置換積分法を習得することで被積分関数が複雑な場合であっても簡単な問題に帰着することができる場合があります。

例を示しましょう。

式(1)

\[ \int_0^1 \sqrt{1 + x} dx \]

根号が混じっていて少し見通しが悪い場合には、次のように新しい変数 \(u\) を導入して置き換える作業を行います。

式(2)

\[ u \equiv \sqrt{1 + x} \]

すると式(1)は次のようになります。

式(3)

\[ \int_0^1 u dx \]

確かに非常に簡単にはなったように思えますが、これでは計算ができません。

というのも \(u\) について積分することを考えれば楽に積分できそうですが、式中に \(x\) が含まれているために積分を実行できないのです。

これを解消するには、式(2)から \(x\) の変化 \(dx\) に対する \(u\) の変化 \(du\) がどういった関係になるのかを知ることから初めます。

つまり式(2)を両辺 \(x\) で微分して \(\frac{du}{dx}\) を求めればよいのですが、その前に根号を外してから計算することにしましょう。

式(4)

\[ \begin{align*} & u = \sqrt{1 + x} \\[15pt] \Leftrightarrow ~ & u^2 = 1 + x ~~~ (~ u \geq 0 ~) \end{align*} \]

両偏微分すると

式(5)

\[ \begin{align*} & \frac{d}{dx} u^2 = \frac{d}{dx} (1 + x) \\[15pt] \Leftrightarrow ~ & \frac{du}{dx} \frac{d}{du} u^2 = 1 \\[15pt] \Leftrightarrow ~ & \frac{du}{dx} 2u = 1 \end{align*} \]

2行目では合成微分法を利用しています。最後に、1変数関数の微分は分数として扱うことも可能なので両辺 \(dx\) を掛けて分母を払うと次の関係が得られます。

式(6)

\[ dx = 2udu \]

したがって式(6)を式(3)に代入して整理すれば、

式(7)

\[ \int_{x = 0}^1 u \cdot 2udu = \int_{x = 0}^1 2u^2 du \]

ここで注意しなければならない点がもう1つあります。それは式(7)中にわざとらしく明示している積分区間のことであり、ここも \(x\) の情報のままなので \(u\) の区間に修正する必要があるのです。

それには式(2)を利用し、そこに \(x\) の積分区間の上端と下端を代入することで、\(u\) の区間を計算することができます。

\[ \begin{align*} & u = \sqrt{1 + x} ~ \xrightarrow{x = 0} ~ u = 1 \\[15pt] & u = \sqrt{1 + x} ~ \xrightarrow{x = 1} ~ u = \sqrt{2} \end{align*} \]

つまり、\(x\) が \(0\) から \(1\) に変化するに伴って、\(u\) は \(1\) から \(\sqrt{2}\) に変化することが分かります。

以上より式(1)は式(3)、式(7)を経て最終的に次のように表式を変えることになります。

式(8)

\[ \int_1^{\sqrt{2}} 2u^2 dt \]

式(8)は簡単に解くことができます。

式(9)

\[ \int_1^{\sqrt{2}} 2u^2 dt = \biggl[ \frac{2}{3}u^3 \biggr]_0^{\sqrt{2}} = \frac{4\sqrt{2}}{3} \]

置換積分法の公式を導出

前項で説明した内容を一般化しておきますが、

要するに置換積分法とは適切な変数を任意に作り出して、その変数で積分しても良いということを言っているのです。

これを変数変換と言ったりもします。

式(10)

\[ \int_a^b f(x) dx ~ \rightarrow ~ \int_{a'}^{b'} h(u) du \]

式(10)で示した変数変換によって、

  • 積分変数が \(x\) から \(u\) に変わる
  • 被積分関数が \(f(x)\) から全く表式がことなる \(h(u)\) に変わる
  • 積分区間が \(a \leq x \leq b\) から \(a' \leq u \leq b'\) に変わる

ことになります。

後は、\(h(u)\), \(a'\), \(b'\) の具体的な表式を知ることができれば良いでしょう。

前項で示した例題の計算手続きに則って、新たに導入する変数 \(u\) を導入します。

\(u\) は \(x\) の関数となるので次のように表現することが可能です。

式(11)

\[ u = u(x) \]

また \(x\) と \(u\) が1対1に対応しているとき、式(11)を \(x\) について解けば \(x\) は \(u\) の関数にもなり得る(つまり逆関数)ので次式が成立します。

式(12)

\[ x = x(u) \]

式(12)を式(10)の \(f(x)\) に代入すれば

式(13)

\[ \int_a^b f\left( x(u) \right) dx \]

となって被積分関数は \(u\) の関数となります。

続いて式(12)を両辺 \(x\) で微分します。

式(14)

\[ \begin{align*} & \frac{d}{dx} x = \frac{d}{dx} x(u) \\[15pt] \Leftrightarrow ~ & 1 = \frac{du}{dx} \frac{d}{du} x(u) \\[15pt] \therefore ~ & dx = \frac{dx(u)}{du} du \end{align*} \]

2行目では合成関数の微分を利用しています。

ちなみに式(14)は式(11)を \(x\) で微分しても得ることが可能です。なぜなら、式(11)と式(12)は \(x\) について解かれたか \(u\) について解かれたかの違いであって共に同じ式だからです。

話を戻して式(14)を式(13)に代入してみましょう。

式(15)

\[ \int_{x = a}^b f\left( x(u) \right) \frac{dx(u)}{du} du \]

最後に積分区間を変換すればよくこれは、式(11)を利用すれば

\[ \begin{align*} u = u(x) ~ \xrightarrow{x = a} ~ u = u(a) \\[15pt] u = u(x) ~ \xrightarrow{x = b} ~ u = u(b) \end{align*} \]

となり、すなわち \(x\) が \(a\) から \(b\) に変化することは \(u\) が \(u(a)\) から \(u(b)\) に変化するのに等しい事がわかります。

したがって式(15)は最終的に次のようになります。

式(16)

\[ \int_{u(a)}^{u(b)} f\left( g(u) \right) \frac{dx(u)}{du} du \]

つまり式(10)右辺と比較すれば

\[ \begin{align*} h(u) &= f\left( g(u) \right) \frac{dx(u)}{du} \\[15pt] a' &= u(a) \\[15pt] b' &= u(b) \end{align*} \]

これらが具体的な表式となることが示されます。

以上のように置換積分法の一般的記述を得ることができましたが、

とはいえ、毎回上記で説明した流れで初期の表式(式(10)左辺)から式(16)に導くのはあまりにも面倒でしょう。

しかし実際に公式を用いる際は、次式に示すように単に \(dx\) を \(du\) で割って、それを打ち消すように \(du\) を掛けておく、ただこれだけで良いのです。

式(17)

\[ \int_a^b f(x) dx = \int_{u(a)}^{u(b)} f\left(x(u)\right) \frac{dx}{\textcolor{red}{du}} \textcolor{red}{du} \]

重ねて注意しておきますが、そのように考える場合でも積分区間や被積分関数を \(u\) についての記述に直し忘れてはいけません。

部分積分法

部分積分法は初等関数が積の形式で与えられた積分計算時に効果を発揮してくれる事が多いです。

この積分法を理解するためには事前に「関数の積の微分法」を知っておいたほうが無難でしょう。

関数の積の微分法とは次式で与えられる公式です。

式(18)

\[ \frac{d}{dx} f(x) g(x) = \frac{df(x)}{dx} g(x) + f(x) \frac{dg(x)}{dx} \]

式(18)を両辺積分すれば部分積分法の公式になります。

式(19)

\[ \begin{align*} & \int_a^b \frac{d}{dx} f(x) g(x) dx = \int_a^b \frac{df(x)}{dx} g(x) dx + \int_a^b f(x) \frac{dg(x)}{dx} dx \\[20pt] \Leftrightarrow ~ & \biggl[ f(x) g(x) \biggr]_a^b = \int_a^b \frac{df(x)}{dx} g(x) dx + \int_a^b f(x) \frac{dg(x)}{dx} dx \end{align*} \]

導出は以上ですが、これが一体何の役に立つというのでしょうか。

基本的には式(19)そのままで利用することはありません。実際には右辺にある2項のうち一方を他辺に移項した表式で用いることによって効果を発揮します。

すなわち次のとおりです。

式(20)

\[ \begin{align*} \int_a^b \frac{df(x)}{dx} g(x) dx = \biggl[ f(x) &g(x) \biggr]_a^b - \int_a^b f(x) \frac{dg(x)}{dx} dx \\[15pt] & \text{or} \\[5pt] \int_a^b f(x) \frac{dg(x)}{dx} dx = \biggl[ f(x) &g(x) \biggr]_a^b - \int_a^b \frac{df(x)}{dx} g(x) dx \end{align*} \]

これは被積分関数に付随した微分演算子が掛かる箇所を変えることができる事を主張しています。

例えば式(20)の上式の場合では、\(f(x)\) に掛かっていた \(\frac{d}{dx}\) は \(g(x)\) に掛かった形式に書き換えることができ、また下式で示すようにその逆も可能なのです。

具体例

実際にこの部分積分法を利用しなければ計算できない関数はたくさんあります。

例えば、次の積分はどうでしょうか。

\[ \int_0^\pi x \sin x dx \]

これは紛れもなく部分積分を利用する問題になります。しかし、式(20)と照らし合わせてみても被積分関数に微分演算子が無いことに気がつくでしょう。

そこで、無理やり微分演算子を作り出してやるのです。具体的には次にように計算を行います。

\[ \int_0^\pi x \sin x dx = \int_0^\pi x \frac{d}{dx} (-\cos x) dx \]

微分演算子が顕在する形式で表現できたので式(20)を利用しましょう。

\[ \begin{align*} \int_0^\pi x \frac{d}{dx} (-\cos x) dx &= \biggl[ -x \cos x \biggr]_0^\pi - \int_0^\pi \frac{d}{dx} x \cdot (-\cos x) dx \\[15pt] &= \pi + \int_0^\pi \cos x dx \\[15pt] &= \pi + \biggl[ \sin x \biggr]_0^\pi \\[15pt] &= \pi \end{align*} \]

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今年で物理化学歴11年目になります。

大学入試2次数学でたった3割しか得点できなかったいわゆる数弱落ちこぼれ。それでも好きこそものの上手なれと言ったところか、学会で最優秀賞受賞したり首席卒業できてしまったので、役に立つ知識を当サイトに全て惜しみなく公開しようと思います。ブックマークをオススメ。