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統計力学とは

統計力学は自然現象を理解する上で必要不可欠なツールです。統計力学が理解できれば、それ以前と比べて全く異なる世界が見えるようになれます。

ただ統計力学では複雑な数式がたくさん現れ、同時に数学の理解も求められます。筆者は数学には余り明るくないですが、しかしそれでも問題ありません。

まずは統計力学の概要を簡単に理解するところから始めるのが良いでしょう。

以下では、統計力学の必要性と実際にどのような内容が明らかになるのかを紹介します。

統計力学の必要性

どうして統計力学を理解する必要があるのかという疑問に対しては、「系が発現する性質をミクロ視点からのアプローチによって明らかにする」という回答が1つ挙げられるでしょう。

もちろんその限りではなく、例えば量子力学の端緒となるなど学術的重要性がありますが、一旦それは置いておきましょう。

そしてここで言う「ミクロ視点」とは一体何かですが、結論「原子・分子」のことです。※電子や原子核などの更に小さいものも扱えます。

あらゆる物質を系として扱うことができますが、その物質は無数の原子が集まって形作られています。

その原子の振る舞いを統計力学によって明らかにすることで、物質が発現する性質を理解することができるようになるのです。

特に化学は原子や分子を扱っていく学問であるため、統計力学の理解は避けて通ることはできません。

統計力学から分かる内容

統計力学を用いれば何が分かるのか簡単に述べておきます。

  • ミクロな視点から物理・化学現象を理解できる
  • 熱力学の諸法則の正当性を確認できる
  • 熱力学系の不可逆性の正体を理解できる

上記で列挙した内容は統計力学の一部に過ぎませんが、中でも興味深いのは「熱力学」との関係性です。

熱力学は原子や分子の存在を仮定すること無く、身の回りで起こる様々な現象を説明することができ、言わば自然科学における公理とも言える存在です。

熱力学法則を破るような物理法則が見つかっていないため熱力学が絶対的であると信じられていますが、その熱力学の諸法則を更に原子・分子レベルからも支持してくれるのが統計力学なのです。

繰り返しになりますが、統計力学は原子レベルから現象を理解することを長所としています。

しかし面白いことに、統計力学それ自体は原子の存在が明らかとなる以前から存在していることです。

今でこそ私達はあらゆる物質が原子の集合体であることを知っている訳ですが、

実際にどのようにして原子の存在が認められたのかを確認することも、当サイトにおける統計力学カテゴリの役目です。

統計力学的扱いについて

改めて「統計力学」という学問の名称について考えてみたいのですが、その名の通り「力学」を「統計的に扱う」という学問であるということです。

では「統計的」とは一体どういうことでしょうか。

統計学では重要な統計量として「平均」の概念があります。多くのデータを持つ母集団を特徴づける代表値として平均が用いられます。

その他確率分布と言って、起こり得る事象を確率的に記述する関数を扱います。平均によって特徴づけた母集団データも確率的に幾分かのばらつき ( 分散 ) が生じるということです。

こうした特徴量を用いることで一見無秩序に思える無数の母集団データを定量的に意味のあるものにすることができます。

これは無数の原子から構成される物質でも応用が効き、全ての原子が同じ振る舞いをするのではなく確率的に様々な状態を取り得ると考えます。

つまり統計力学によるアプローチでは、物質を構成する原子・分子の確率的状態を平均化することで、物質がマクロにどのような状態にあるかを特徴づける事が可能になるということです。

そしてこのマクロな状態こそが熱力学によって記述される状態に相当することが後に理解できるでしょう。

統計力学は「力学」と付いていますが、ニュートン古典力学とは毛色が全く異なることが分かるでしょう。

ニュートン古典力学では、個々の質点の運動を運動方程式を解くことによって完全に記述することができます。

一方で統計力学では、個々の原子・分子の運動を追いかけることをせず確率的に扱います

では、原子・分子の運動をニュートン古典力学の観点から理解することはできないのでしょうか。

事実として、無数の原子から構成される物質の性質を明らかにするために、原子数分の運動方程式を解くことは現実的ではありません。

その原子数とはご存知の通り、アボガドロ数個 ( \(6.02 \times 10^{23}\) 個 ) に及びます。この数だけの運動方程式を連立させて解きたい人がいるでしょうか!?

また古典力学の問題について、質点が3つ以上になるとそれら質点の運動を解析的に解くことはできない三体問題と呼ばれる問題があります。

以上のことからも原子の運動を完全に記述することを避け、統計力学の手法によって確率的・平均的な扱いを行う姿勢を取るのが得策だと理解できるでしょう。

では、本編はこちらから御覧ください。

【サイト運営 : だいご】

今年で物理化学歴11年目になります。

大学入試2次数学でたった3割しか得点できなかったいわゆる数弱落ちこぼれ。それでも好きこそものの上手なれと言ったところか、学会で最優秀賞受賞したり首席卒業できてしまったので、役に立つ知識を当サイトに全て惜しみなく公開しようと思います。ブックマークをオススメ。