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媒介変数表示の微分

媒介変数表示の微分

媒介変数表示とは

これまで扱ってきたような関数 y=f(x)y = f(x) は、代入される値 xx に対して yy が定められるものでした。

しかし、すべての関数がこの形で表現できるとは限らないのです。

その際、媒介変数表示という記法を利用することがあります。

まずは一般的な表現を見てみましょう。

式(21)

媒介変数とはその名の通り xxyy の間の関係を取り持っている変数を指します。

以下で媒介変数表示の例と、媒介変数を消去して簡潔にまとめられるものを例に取り上げました。

具体例

次に円の方程式の媒介変数表示を示します。

これは中心座標 (a, b)(a,~b) で半径 rr の円です。

実際に tt を消去すると次のようになります。

媒介変数表示の微分

式(1)で示された媒介変数表示の微分を考えるとなるとすぐに思いつくのは u(t)u(t) および v(t)v(t) について tt で微分したものです。

式(22)

これは tt が変化したときに xxyy の変化の仕方を知ることはできます。

しかし xx の変化に伴う yy の変化として直接的に知りたいこともあるので、以下ではその計算手段を与えてくれる公式を導きます。

これには、前節で紹介している合成関数の微分公式および逆関数の微分公式を利用します。

まず式(21)から媒介変数 tt を消去したいため、関数 u(t)u(t) の逆関数 u1(x)u^{-1}(x) を考えます。

ただし、uu は単調関数でなければならず、必然的に定義できない点が存在してしまうことに注意です。

とりあえず uu の逆関数は形式上次のように表現されるでしょう。

式(23)

式(23)を式(21)の y=v(t)y = v(t) に代入して tt を消去することができます。

式(24)

これで yy の変数が xx に置き換わりました。

ここで式(24)に対して合成関数の微分公式(15)を利用すればすることを考えます。

式(25)

更に、逆関数の微分公式(20)を用いると式(25)中の u1(x)dx\frac{u^{-1}(x)}{dx} は次のように表現できます。

式(26)

従って式(24)および式(25)から dydx\frac{dy}{dx} は次のように表現できることが分かります。

式(27)

dv(t)dt\frac{dv(t)}{dt} は式(22)で示したとおり fracdydtfrac{dy}{dt} で置き換えています。

結果を見てみると、やはり微分を表す記号が分数の様に扱えることが分かります。

式(27)左辺の dydx\frac{dy}{dx} の分母分子それぞれを dtdt で割ることができるかのような計算結果が得られました。

注意したいのは、式(27)右辺の中央にある横線は分数であることを表したものですね。

以上の結果から、媒介変数表示された関係式 x=u(t)x = u(t), y=v(t)y = v(t) であっても、それぞれ両辺 tt で微分した後に得られた結果を割るというだけで簡単に dydx\frac{dy}{dx} が求められることが分かりました。