座標平面上において点の位置を示す際に、よく利用されるものとして (\(x, ~ y\)) で指定する手法があります。
しかし、指定の仕方は何もこれ一通りではなく、その他別の方法も存在するのです。
当コンテンツで紹介するのはその中の1つである極座標を取り上げます。
極座標
極座標とは何か説明していきます。次の図を見ていただきましょう。
座標原点Oを中心としてある点Pを考えることにします。
そして極座標では、これらを結ぶ線を引いて座標の位置を示します。
このOPの長さを \(r\) とし、また横軸(正側)から左回りの向きにとった角度を \(\theta\) としましょう。
実はこれら( \(r, ~ \theta\) )を利用すれば平面上のすべての点を表すことができるのです。
考えてみれば、いま原点に立っているとして \(\theta\) を変化させれば360度見回すことができ、かつ \(r\) を変化させれば足元から無限遠まで見渡せるということであり、これはつまり全範囲を網羅していることに他ならないでしょう。
では、これを数学的に表現するとどういった表式になるのか見ていくことにします。
2次元の極座標表示
原点からの距離 \(r\) と角度 \(\theta\) を利用することで、様々な位置を表すことができるというのは、以下に示す内容から理解することができるでしょう。
点Pから \(x\) 軸および \(y\) 軸に垂線をおろした先がそれぞれ点Pの \(x\) 座標、\(y\) 座標に相当します。
これを数学的に表現すれば、三角関数を用いて次のようになります。
式(1)\[ \begin{align*} x &= r \cos \theta \\[10pt] y &= r \sin \theta \end{align*} \]
式(1)は直交座標 ( \(x\)-\(y\) 座標) と極座標 ( \(r\)-\(\theta\) 座標)をつなぐ式になります。
極座標での表現にすることによって複雑になるように思えてしまうのは仕方が無いでしょう。
実例を当ページで紹介することは省略しますが、必要になり次第座標導入をしていくことにします。
3次元の極座標表示
更に発展させて3次元空間中における極座標表示を考えてみましょう。
前項と同様に点Pの座標( \(x, ~ y, ~ z\) )の別表現を考えていくことになるのですが、それには3つの要素を必要とします。
それぞれ上図に示した \(r\), \(\theta\), \(\phi\) がそれに相当します。
\(r\) は原点Oから点Pまでの距離。\(\theta\) は \(z\) 軸と線分OPが成す角。\(\phi\) は \(x\) 軸とOPの \(xy\) 平面への正射影が成す角を表します。
すこし複雑なとり方のように思えるかもしれませんが、これは地球の経度と緯度のとり方と同じであることに気が付きます。是非確認してみて下さい。
また、2次元の極表示の場合とで使用される変数の意味が異なることに注意しなければなりません。
2次元では \(\theta\) で表現していた角度は3次元では \(\phi\) で表すことが慣習となっています。
話を戻して、実際に \(x\), \(y\), \(z\) が \(r\), \(\theta\), \(\phi\) でどのように表すことができるのか計算していきましょう。
まずは点Pの \(z\) 座標から始めてみます。これは最も簡単に求めることができて、
OPの \(z\) 軸への正射影を表すので単に \(z = r \cos \theta\) とすれば良いことが分かります。
続いて、点Pの \(x\) および \(y\) 座標について、こちらは計算過程にワンクッション挟む必要があります。
具体的な計算手続きの概要としては、OPの \(xy\) 平面へ正射影の長さを求めて、そこから更に \(x\) 軸、\(y\) 軸への正射影を求めるという順序を踏みます。
つまり、OPの \(xy\) 平面へ正射影の長さは \(r \sin \theta\) で表すことができることが分かれば、 \(x\) および \(y\) は角 \(\phi\) について余弦および正弦をとればいいので、
それぞれ \(x = r \sin \theta \cos \phi\), \(y = r \sin \theta \sin \phi\) と表せば良いことになります。
以上をまとめると次の通り。
式(2)\[ \begin{align*} x &= r \cos \phi \sin \theta \\[10pt] y &= r \sin \phi \sin \theta \\[10pt] z &= r \cos \theta \end{align*} \]
3次元空間中における極座標表示の説明は以上です。
こちらも結果だけを見ると、直交座標系のときよりも表現が複雑になっているためその導入意義について非常に疑問を呈してしまうかもしれないです。
しかし、前項でも述べたように極座標で表現したほうが良い場合も多分にあるため理解して置かなければならない座標系ということになります。
【サイト運営 : だいご】
今年で物理化学歴11年目になります。
大学入試2次数学でたった3割しか得点できなかったいわゆる数弱落ちこぼれ。それでも好きこそものの上手なれと言ったところか、学会で最優秀賞受賞したり首席卒業できてしまったので、役に立つ知識を当サイトに全て惜しみなく公開しようと思います。ブックマークをオススメ。