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スターリングの公式

スターリングの公式って知っていますか?

この公式を知っていれば、階乗 \(n!\) を含む式の解析にもう困ることはありませんよ!

■このページで分かる内容のまとめ■

\(n\) が大きいとき、次の関係が成立します。

\[ \ln n! \simeq n \ln n - n \]

これをスターリングの公式と言います。

スターリングの公式

スターリングの公式は階乗 \(n!\) を含む式の解析時に非常に効果を発揮します。

まずはその公式を見てもらう事にして

式(1)

\[ \ln n! ~ \simeq ~ n \ln n - n + 1 \]

と、この通りで階乗 \(n!\) の対数が、なんと式(1)右辺のように記述できてしまうというものです。

明らかに右辺の方が解析するに当たっても扱いやすいことは明白ですね。

では、どうして式(1)の関係が成立すると言えるのでしょうか。

実際に式(1)の左辺から式変形をして確認すると次のようになります。

式(2)

\[ \begin{align*} \ln n! &= \ln \big\{ n \cdot (n - 1) \cdot (n - 2) \cdots 2 \cdot 1 \big\} \\[15pt] &= \ln n + \ln (n - 1) + \ln (n - 2) + \cdots + \ln 2 + \ln 1 \\[15pt] &= \sum_{k = 1}^n \ln k \end{align*} \]

そして得られた \(\sum_{k = 1}^n \ln k\) を「横 \(1\)、縦 \(\ln k\) の長方形の和」と見てみましょう。

グラフで表したものが次図です。

\(n = 10\)
\(n = 100\)

どうでしょうか。

長方形を並べてできる面積と、曲線 \(\ln x\) 下にできる面積を比較したとき、\(n\) が大きいほど誤差は小さくなります。

したがって \(n\) が大きいとき次の近似が成り立つことが分かります。

式(3)

\[ \sum_{k = 1}^n \ln k \simeq \int_1^n \ln x dx \]

式(3)右辺の積分を実行すれば

式(4)

\[ \begin{align*} \int_1^n \ln x dx &= \bigg[ x \ln x - x \bigg]_1^n \\[15pt] &= n \ln n - n + 1 \end{align*} \]

が得られるので、したがって式(2)および式(4)から式(1)が導かれるという事です。

式(1)

\[ \ln n! \sim n \ln n - n + 1 \]

また、今 \(n\) は大きく \(n \gg 1\) であるので、式(1)から \(1\) をも無視して

式(5)

\[ \ln n! \sim n \ln n - n \]

として扱う方が多い感じです。

【サイト運営 : だいご】

今年で物理化学歴11年目になります。

大学入試2次数学でたった3割しか得点できなかったいわゆる数弱落ちこぼれ。それでも好きこそものの上手なれと言ったところか、学会で最優秀賞受賞したり首席卒業できてしまったので、役に立つ知識を当サイトに全て惜しみなく公開しようと思います。ブックマークをオススメ。